2022年2月10日 / 最終更新日時 : 2022年3月1日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(9話)』大前しでん小説 「いやいや、これはご丁寧に私は父の前川祐司です。いつも、こいつがお世話になってすみませんね」 「いえいえ、こちらがお世話になっておりまして。二年前に職場で出会ってから一目で好きなり、交際を重ねるうちに内面に秘めた強い生命 […]
2022年1月7日 / 最終更新日時 : 2022年2月10日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(8話)』大前しでん小説 「初めてまして浜口人志と申します。 本日はお忙しいところ、」 「まぁ、堅い挨拶はいいから駄々広いだけの家ですけど上がってやって下さいな」 圭子が目配せするので自然な流れで人志は靴を脱ぎ誘導される様に仏間へと足を運んだ。 […]
2021年11月2日 / 最終更新日時 : 2021年12月18日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(7話)』大前しでん小説 ㈤真実 あっ、人志君が来たような車の音がした。 門扉の向こうにある彼岸花達の横には納屋があって農機具や餅つき道具の杵や臼、蒸籠など今や都会で見せると骨董品のような品々が収納され、その傍に寄り添うかのように母さんの大切にし […]
2021年10月9日 / 最終更新日時 : 2021年11月2日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(6話)』大前しでん小説 「おい、そんな言い方無いだろう。仮にも俺は圭ちゃんの婿になる男なんだぜ」 「そりゃ、そうよ。決まってるじゃない。 そうね、人志君言い過ぎた。ごめんね」 「別にいいけど、いつも冷静な圭ちゃんがそこまでムキになるってことは、 […]
2021年9月7日 / 最終更新日時 : 2021年9月7日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(5話)』大前しでん小説 「私はその現実が信じられなくて、信じられなくて、ただひたすら泣いて泣いて。 それからは私の人生なんてどうでもいいと自暴自棄になって中学三年の時に自分の命を殺め母さんに謝りに行こうとした時だった。 死に方も解らずリストカッ […]
2021年8月6日 / 最終更新日時 : 2021年9月28日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(4話)』大前しでん小説 (三)告白 「どうしたの圭ちゃん 今日は何だか浮かない表情してるよね?」 「人志君さぁ、来週の日曜が来るのが何だか怖いんでしょ?」 「圭ちゃん、どうしてそんなにお父さんのことが怖いの?正直、圭子の性格からは全く想像もつか […]
2021年7月20日 / 最終更新日時 : 2021年8月6日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(3話)』大前しでん小説 そうやって、日々行う一方通行の魂と心の触れ合いにも終焉が訪れるのだった。 今、思うとこのような父の習慣や細かい一つ一つの所作を気にするようになったのは「全部あの日から始まったのだ」と圭子は落胆し今でも心が締めつけられる思 […]
2021年6月16日 / 最終更新日時 : 2021年7月18日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(2話)』大前しでん小説 ㈡後悔 その夜、父の機嫌はあまり良くなかった。 父は帰宅すると一目散に仏間に入って必ずお参りをする。 父の機嫌はおりんの音色で概ね察するようになった。 あの日から圭子は、自分でも異常なほど神経質になっていたの […]
2021年5月16日 / 最終更新日時 : 2021年6月15日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『氷の解けるまで(1話)』大前しでん小説 (一)彼岸花 「此処か、圭ちゃんが毎日生活してる家っていうのは。それにしても周りに田園が広がって穏やかな時間を感じるよな。 こんな大きな屋敷に二人暮らしか、それはそれで寂しいよな。 それじゃ、迷わずにお邪魔しに行くからお […]
2021年4月21日 / 最終更新日時 : 2021年5月16日 chigyou 大前しでん(西福寺門徒)小説 『互いの面影(10話・最終回)』大前しでん小説 「それでは、お待たせして済みませんでしたまた、いつかどこかのトイレで』 「ほんまやね、早く元気になって掃除にかなね」 「さようなら、お体を大事にお元気で」 「さようなら、有難うね」 良かった 何か胸のモヤモヤが […]